2008年06月02日

子供のからだと脳と食生活(5)

栄養素は相互作用で力を発揮する

脳のエネルギー

脳はブドウ糖と酸素を盛んに使っています。

そのためどちらが不足しても頭がぼうっとして働きません。

脳は体重比では50分の1ですが、最近になって、

脳・神経系が1日に使うエネルギーが全身の筋肉なみだということがわかってきたそうです。
(聖マリアンナ医大横浜西部病院 栄養部長 中村丁次氏、読売新聞平成10年5月12日)

ブドウ糖は体内貯蔵に限りがあり、

起床時などには血糖値が70mg程度まで下がっていることもあります。

そんなとき、脳はガス欠気味。

だから、常に糖質で補ってあげることが必要です。

「同じ糖質でも甘いものより吸収のゆっくりした穀類が好ましく、
 コメだけで補うとしたら最低1日3回茶碗1杯ずつ食べる必要がある。
 ビタミン、ミネラルなどの微量栄養素も、脳の働きに関わっている。
 朝食を抜いたりすれば当然、頭の働きが鈍くなり、
 精神的な部分でも様々な症状が出るはずだ。」

と指摘しています。

朝、ビタミン、ミネラルとブドウ糖を充分とれる朝食を食べさせることが、

最も基本的な「頭脳食」であると言えます。


記憶や神経の働きをよくするために

脳細胞の一種であるニューロンは、

いくつも互いにつながりあって連なる網の目の構造を作っています。

刺激は瞬時にこの網目の上を走り、伝えられていきます。

刺激は、ニューロンの中では電気信号として、

また、ニューロンとニューロンのつなぎ目では、一方のニューロンからもう一方へ向かって

神経伝達物質という化学物質が放出されることで、伝えられていきます。

アセチルコリンは、その神経伝達物質のひとつですが、

この物質は身体の中でコリンからつくられます。

コリンが血液で運ばれて、パントテン酸という物質の助けにより、

神経伝達物質アセチルコリンになります。

コリンは不飽和脂肪酸とリン酸と一緒になってレシチンをつくり、

細胞膜になりますが、神経にも重要です。

コリンが豊富だと、記憶力や神経の働きがよくなるため、

体の調節がよくなります。

コリン、あるいはレシチンが不足してくると、

神経の働きや細胞の力が衰え、全身がだるくなり、衰弱してきます。

コリンの一部はアミノ酸から作られているので、

タンパク質が不足するとコリン欠乏症になりやすくなります。

コリンは、レシチンとしてとるのがとりやすいので、

頭の中で情報のやり取りをスムーズに行うためには、

アセチルコリンを充分量つくるだけのレシチンを食べる必要があります。

また、DHAは記憶力や学習能力を高め、

脳をイキイキさせて、脳の若さを保ちます。

脳内の細胞には多くのDHAが構成成分として含まれています。

特に、記憶の中枢とされる海馬というところには、

高濃度のDHAが含まれています。

DHAはイワシ、サバ、サンマ、アジ、ウナギ、マグロなど、

いわゆる青魚に多く含まれますが、体内でもつくられます。

シュンギク、ダイコン、ハクサイ、ホウレンソウなどの葉と根に多く含まれる

αーリノレン酸から体内でDHAがつくられます。


知能指数を上昇させた

「知能指数で表された知能は、

 その人のそのときの栄養状態、少なくとも柑橘類や、

 その他のアスコルビン酸を含む食物の摂取状態によって、かなり変わる。

 またアスコルビン酸で、機敏さも鋭敏さも向上する」

というのはあるビタミン研究者の発言です。

これは、幼稚園児から大学生まで350人に対し、

食事以外にビタミンCを100~150mg与えた実験結果によるものです。

アスコルビン酸とはビタミンCのことです。

いわゆる、頭の回転の遅い子供や、ぼんやりすることの多い子供達の状態は、

特にビタミンCで改善できると考えられています。

またビタミンCや葉酸などの11種類のビタミンと8種類のミネラルを与えて、

知恵遅れの子供達の知能指数を、8ヶ月で16も上昇させたという研究者の報告もあります。

脳へは、体内の血液の5分の1が流れ、

非常に多くの酸素や栄養素を消費しているので、

栄養のバランスに影響を受けやすいのです。


    健康工房 紀の郷
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Posted by 健康工房 紀の郷 at 10:57